海外移籍組が異色の競演
ノマディック・プロジェクト2
(日経新聞 2005/8/22)

 サッカーや野球に限らずダンスにおいても数多くの日本人が世界中で活躍している。だが残念なことに、日本で彼らの活躍をじかに見ることは難しい。そうしたダンサーたちを呼び寄せ、その活躍ぶりを紹介すると同時に、世界のダンス界の最前線を紹介しようという、観客にとってもダンサーにとっても貴重な公演。
 芸術監督は、新潟に拠点をおき、コンテンポラリー・ダンス界で最も注目されている男、金森穣。
 オランダのネザーランド・ダンス・シアター、ドイツのフォーサイス・カンパニー、イスラエルのバットシェバ・ダンス・カンパニー、スウェーデンのクルベリ・バレエその他で活躍する十五人の男女により、十作が上演された。その半数以上が新作である。
 幕開けは、天才タップダンサー熊谷和徳と金森の共作共演。ソファと電気スタンドが置かれた小部屋のような空間で、金森が蛇のような、あるいはロボットのようなダンスで熊谷に迫り、熊谷は素足でタップを踏んだり、つま先立ちで踊ったりして反応する。音楽は足音だけ。床にまかれた砂を足でこするところは秀逸。異色の顔合わせだが、見事にセッションを成功させた。
 金森自身をはじめ、イリ・キリアンと縁のあるダンサー、作品が比較的多かったこともあり、全体にキリアンの影響を強く感じた。キリアンは男女のデュエットの作り方が抜群にうまく、二つの身体がうねりつつ流れていくなかから、独特の官能美が醸し出される。
 それに対抗するように、最後に踊ったフォーサイス・カンパニーの安藤洋子と仲間たちは、キリアン的な流れを切断するような、故意にぎくしゃくさせたような、あるいは瞬間ごとに観客に水を浴びせるようなダンスを見せ、現代ダンスの別の側面を教えてくれた。
 11日。めぐろパーシモンホール。