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奔放な身体表現、なお可能性
服部有吉「R−HATTER」
(日経新聞 2005/8/4)
服部有吉は、驚くほど小柄であるというハンディと闘いながら、ジョン・ノイマイヤー率いるハンブルク・バレエで活躍し、この冬、同団が来日した際にはノイマイヤーが彼のために創作したという『冬の旅』を披露し、故郷に錦を飾った。昨年は『盤上の敵』で振付家としての才能も披露したが、今回の公演はすべて彼の演出振付による。
第一部は服部とハンブルク・バレエのダンサーたちによる「藪の中」。芥川龍之介の小説、というより黒澤明監督の『羅生門』の原作といったほうがわかりやすいか。殺された男の霊、妻、盗賊の三者がたがいに矛盾した話を語る。真相はまさに藪の中。
この「語り」をめぐる話をどうやってバレエ化するのだろうかと興味津々であったが、服部はそれを、男・妻・盗賊をそれぞれ三人ずつで踊るという卓抜したアイデアで処理した。
それでも、状況をある程度説明する必要があるために、どうしても振付が制限される。服部には新しい奔放な身体表現を生み出せるだけの力があるとみたが、その力が存分に飛翔していないように感じたし、ハンブルクの優れたダンサーたちもその力をフルに発揮できていないようだった。ダンサーたちの若さゆえか、「藪の中」のどろどろした欲望の世界が、さっぱりした世界になっていたが、これはひとつの解釈として、わるくない。
第二部は「R−HATTER」と題し、ハンブルク・バレエのダンサーと、宝塚歌劇花組月組の選抜ダンサーが合流し、有吉の祖父である服部良一の名曲の数々をダンスで綴る。ハンブルクのダンサーたちが「買物ブギ」を踊るのはご愛嬌。ハンブルクの男性ダンサーたちと歌劇団の男役が混じって踊るという、めったに見られない楽しいステージでもあった。
7月22日、簡易保険ホール。
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