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心理生々しく伝える無言劇
アダム・クーパー「危険な関係」
(日経新聞 2005/2/3)
男性版「白鳥の湖」によって世界的スターになったアダム・クーパーが、十八世紀フランスの有名な書簡体心理小説を演出・振付し、みずから主役のプレイボーイを演じた。これまで映画では、ジェラール・フィリップ、ジョン・マルコヴィチ、最近ではペ・ヨンジュンが演じた役だ。
プレイボーイのヴァルモン子爵とプレイガールのメルトイユ侯爵夫人が、純真な若者、あどけない少女、貞淑な寡婦の心をおもちゃにして、恋愛ゲームを楽しむが、他人の真心を弄んだ代償はけっして軽くなく、悲劇的結末を迎える。
共同演出・美術担当のレズ・ブラザーストンによる舞台装置が印象的だ。ロココ宮殿の「鏡の間」と言ったらいいだろうか。ガラス窓が三方から舞台を囲い、そのガラスは時として鏡に変わる。場面は頻繁に変わるが、それをカーテンやガラスの仕切りの移動によって処理し、絵巻物のような効果を上げている。衣裳の変化も効果的だ。
ただし、小説の「バレエ化」だろうと予想し、クーパーのダンスをたっぷり楽しめるものだと期待していたファンは、失望したにちがいない。ダンスはほんのわずか。その数少ないダンスは、男女がたがいの体をまさぐりあい、腰をくねらせて性行為を描写するのだが、マクミランやボーンの模倣で、新鮮味に欠ける。
しかし、そのことがかえってこの作品を上質のエンタテインメントに仕上げている。全編がパントマイムによる無言劇になっているのだが、原作を深く読み込んでいると見え、流れがスムーズで、原作を知らない者にも複雑な人間関係がよくわかり、各登場人物の心理が生々しく伝わってくる。この物語は現代にも通用するはずだというクーパーの狙いは的確だ。6日まで簡易保険ホール。9?16日、青山劇場。
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