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シンプル、無国籍のダンス
Noism04「black ice」
(日経新聞 2004/12/20)
金森穣は「見ていて気持ちのいい」ダンサーである。のびやかな肢体から、ヨーロッパ仕込みのダイナミックでエッジのある動きが繰り出される。
だが彼はいま、むしろ日本初の、新潟市民芸術文化会館を本拠とするレジデンシャル・カンパニー「Noism04」の芸術監督として、踊り手よりも創作家として、注目と期待を集めている。
「black Ice」は、そのカンパニーの第二作。凝った仕掛けを用いた前作に比べて、全体にシンプル。三部構成だが、最初から最後までひたすら暗い。照明が暗いだけでなく、踊り自体も内省的・下降的。
第一部では、左手前から右奥に張られたロープが舞台を二分している。ダンサーたちがほとんど独りずつ踊る。上半身を大きくうねらせ、高速で腕を回しては、ふつうとは逆にひねり、といった、いかにもコンテンポラリー・ダンスらしい動き。ダンサーたちは接触しても、絡み合わない。
第二部は、菱形のスクリーンに、床に接触する身体の映像が映し出され、照明は舞台をくっきり明暗に分かつ。ここでは二人、三人の絡み合う身体が中心。
第三部では舞台は一転して、遊園地のお化け屋敷みたいな空間になり、大音響の音楽とともに、アナーキーなダンスが繰り広げられる。
やがてすべての装置が片づけられ、空っぽになった静謐な舞台で、それまで着ていた黒装束を脱ぎ捨て、金森が美しいソロを踊る。
金森は、土方巽以来支配的だった、日本人には西洋のダンスは無理だという考え方をあっさり無視して、いわば無国籍のダンスを生み出そうとしている。しかし、新たなスタイルを生むためには、ダンサーたちの身体能力と表現力がもっと向上する必要がある。11日、新国立劇場。
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