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流れるような身体の動き
シルヴィ・ギエム・オン・ステージ
(日経新聞 2004/12/6)
世界のダンス界の頂点に君臨するバレリーナ、シルヴィ・ギエムが惚れ込んだ新進の振付家ラッセル・マリファントの三作品。現在のギエムが何をやりたがっているのかを知る貴重な機会となった。
「トーション(ねじれ)」は、元ロイヤル・バレエのマイケル・ナンとウィリアム・トレヴィットによる男性デュエット。ギエムはこの作品を見て、マリファントに着目したという。
最初は別々に踊っていた二人がやがて絡み合い、さまざまな形で体をねじりながら、たがいに巻き付いては離れ、支え合い、持ち上げ合う。そこには、ヨーガ、太極拳、合気道、カポエラ(ブラジルの格闘技)など、さまざまな身体技法が取り入れられている。
二人の身体の動きは、まさに流れるよう。しかも随所に不意打ちのような激しい動きが組み込まれているために、見ていて飽きない。トレヴィットが飛行機のように両腕を広げ、膝を突いたまま舞台上をぐるぐる周る場面では、彼の身体能力の高さに度肝を抜かれた。
「トゥー」はギエムのソロ。闇に浮かび上がる、二メートル四方の空間で踊る。凝集された密度の高い踊りだ。瞬きすらできないほど。主な動きは「腕のぶんぶん回し」なのだが、腕を振り回すことがかくも美しいものかと溜息が出る。
「ブロークン・フォール」は先の男性二人とギエムのためにマリファントが振り付けた作品。男たちがギエムを担ぎ上げ、落とし、投げ、受けとめる。二者あるいは三者の身体の絡み合いには、マイケル・クラークやイリ・キリアンの顕著な影響が見られるが、終始、静的で「淡々」としているのが印象的。ただ、前二作品と比べると完成度が低く、不満が残った。11月30日、簡易保険ホール。
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