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身体が言葉を話すように
下村由理恵公演
(日経新聞 2004/11/8)
下村由理恵は、かつてモスクワ国際コンクールにおいて史上最年少で銀賞を受賞し、その後スコティッシュ・バレエのプリンシパルをつとめた。帰国後は、世界的レベルにあるダンサーにしては、その活動はこれまで比較的地味だったが、抜群の身体能力と、まるで身体が言葉を話しているような演技力をかねそなえた稀有なダンサーであり、熱狂的なファンも多い。
さて今回のリサイタルだが、第一部はピアソラの曲を使ったタンゴ調の「DRAMA」(篠原聖一振付)で始まり、バレエ・リュスの演目として有名な(ただし振付は篠原による)「シェヘラザード」で終わった。ともに佐々木大とのデュエット。二人ともに柔軟性に富んだ身体の持ち主だが、振付が彼らの魅力をうまく生かし、円形舞台も効果的に用いていた。
両作品の間に挟まれた、下村自身の振付による「Le Jeu(ル・ジュ)戯れ」と篠原・佐々木大振付の「The King of Comedy」は、どちらも「下村由理恵バレエアンサンブル」のダンサーたちを前面に出した作品。リサイタルがバレエ教室の発表会みたいになってしまって残念。
第二部は松崎すみ子振付の「トパーズいろの香気(智恵子と光太郎)」。智恵子の心が壊れていくさまが描かれる。下村が智恵子を、篠原が光太郎を踊る。「智恵子の内なるもの」と「光太郎の内なるもの」を登場させるという趣向は面白いが、狂気を深く掘り下げるにはいたらない。
バレエ公演としては上質といえるが、「クラシック・バレエ」の狭い世界に閉じこもっていたのでは、せっかくの表現力がもったいないとも思ってしまった。10月30日、青山円形劇場。
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