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細部まで完璧なザハロワ
新国立劇場「ライモンダ」
(日経新聞 2004/11/1)
「白鳥の湖」「眠れる森の美女」などによってクラシック・バレエ様式を完成させた振付家マリウス・プティパの晩年の作品で、十九世紀末に初演されたものだが、人気演目とはいえない。グラズノフの曲は美しいが、めりはりがないし、何よりも台本がわるい。
舞台は中世フランス。王子ジャン・ド・ブリエンヌが十字軍に出かけている間、婚約者ライモンダ姫の前にサラセンの首領があらわれ、姫を腕づくで奪おうとするが、ジャンが帰国して決闘で首領を倒し、ライモンダ姫と結婚式を挙げる、というだけの物語。
どうしてこんな台本を採用したのか理解に苦しむが、じつは振付家プティパにとって、もう筋はどうでもよかったのだ。見せるべきものは劇ではなく舞踊だ、と思っていたのだろう。そう考えると納得がいく。物語バレエから筋のないバレエへの過渡期の作品なのだ。今回の牧阿佐美による改訂も、そうした観点にもとづいているとみた。
ライモンダ役のゲスト、スヴェトラーナ・ザハロワがすばらしい。感情表出を極力抑えたその動きは細部にいたるまで完璧。他のダンサーが一秒二十四コマのフィルムだとしたら、彼女は四十八コマだ。王子ジャン役のアンドレイ・ウヴァーロフも、ザハロワと同じくモスクワ・ボリショイ・バレエのプリンシパルだが、これまた完璧な踊りで観客の溜息を誘っていた。
日本のバレエ団がこうした超一流のゲストを迎えると、他のダンサーたちとの格差が目立ち、情けなくなることが多いのだが、今回感動したのは、そうした格差を感じさせない新国立劇場バレエ団のレベルの高さである。湯川麻美子、西川貴子をはじめ、主役の脇を立派に固めていた。
ルイザ・スピナテッリによるオリジナルの舞台装置・衣裳も秀逸。10月15日、新国立劇場
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