吉岡、井脇、自在な体さばき
東京バレエ団「創立40周年記念ガラ」
 (日経新聞 2004/8/26)

 名実ともに日本を代表するバレエ団であり、海外でも知名度も高い東京バレエ団の創立四〇周年記念公演。演目は、現代の巨匠による三小品を挟んで、二〇世紀の古典が二作品。
 第一部の「レ・シルフィード」は二十世紀バレエの幕開けを告げる作品。ショパンの曲にのって、ひとりの詩人とシルフィード(空気あるいは森の精)たちがまるで空中を浮遊するように踊る。アンサンブルの美しさと、吉岡美佳のじつに端正な踊りが眼を惹いた。
 第二部冒頭の「パーフェクト・コンセプション」はキリアンがこのバレエ団のために振り付けた作品。男女四人が、真ん中に穴のあいた座布団のようなものを、頭にかぶったりスカートみたいにはいたりしながら多様な造形を見せ、強烈に「現代」を感じさせる。ここでも吉岡と井脇幸江の縦横自在な体さばきに感心した。
 「椿姫」のパ・ド・ドゥ(振付ノイマイヤー)では、ベテランの高岸直樹と齊藤友佳理が手堅く踊ったが、感動を呼ぶまでには至らない。
 「バクチIII」はベジャールのインド舞踊風バレエ。シヴァ神と妻シャクティが真っ赤なレオタードで踊る。ふつうバレエでは見られないような官能的な腰の動きが特徴だ。井脇は、日本では珍しく、艶と強さを兼ね備えたバレリーナだが、シャクティの踊りでも観客の心を吸い込むような妖しい魔力を発揮した。
 最後は「エチュード」(振付ランダー)。レッスン風景をバレエ化した作品で、ありとあらゆるテクニックが披露される。ダンサーの層の厚さを印象づけた。今年このバレエ団に移籍し、活躍を期待されている上野水香が主役を踊ったが、まだ踊りがこなれておらず、才能を開花させるには至っていない。
 男性ダンサーの層の厚さでも定評のあるバレエ団だが、むしろ吉岡・井脇の秀逸さが印象に残った。22日、東京文化会館