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バレエ技術を巧みに活用
ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス/アメリア
(日経新聞 2004/6/24)
もともとモダンダンスは、型を重視するバレエに対抗し、自由なダンスとして出発したが、その発展形であるコンテンポラリー・ダンスのなかにはバレエのテクニックを取り入れたものが少なくない。バレエ独特の高度な技術は、否定してしまうにはあまりに美しいからだ。
映像作家としても評価の高いエドゥアール・ロックの率いるカナダのカンパニー、ラ・ラ・ラ・フーマン・ステップスは、八〇年代から活動しているが、九八年に彩の国さいたま芸術劇場に一ヶ月半滞在して制作した「ソルト」において、バレエの技術、とくにポワント(爪先立ち)を大胆に取り入れ、世界に衝撃を与えた。
新作「アメリア」はその「ソルト」の発展形である。
まず生演奏の音楽が素晴らしい。けっしてダンスの伴奏ではなく、ダンスと音楽のコラボレーションになっている。ルー・リードの歌詞にデヴィッド・ラングが新たに曲を付けたというポップな現代音楽を、女性ヴォーカル、バイオリン、チェロ、ピアノが代わる代わる主役になって演奏する。
舞台は終始暗く、真上からのスポットライトがつくる光の柱の中で、ダンサーたちが踊る。両手を激しく動かしながらポワントで立つ女性を男性がサポートし、くるくる回すというのが基本形。
バレエの技術は歴史的重みがあるので、才能のない振付家がへたに取り入れると、バレエに引っ張られてしまいがちだが、ロックはポワントを歴史的文脈から引きはがし(男性がポワントで踊る場面もある)、ニュートラルな技術として用いる。実験精神には富むものの、小気味いいくらいの高速で次から次へとダンスが展開するので、決して堅苦しくなく、見ていて飽きない。
ただ、徐々にバレエの技術が支配的になりつつあるような気がするが、どうだろう。19日、彩の国さいたま芸術劇場。
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