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躍動感ある熊川新演出
K・バレエカンパニー/コッペリア
(日経新聞 2004/6/3)
オペラや演劇も同じだが、古典バレエは、そのまま演じていたのでは化石になり、博物館入りしてしまう。つねに新しい生命を吹き込んでやる必要がある。だが一方、じつはちょっと手を入れただけという「新演出」が多いのが悲しい現状である。そんななかで、熊川哲也の『コッペリア』ほど見事な新演出を見たのは久しぶりだ。
自動人形(いまでいえばロボット)作りに熱中する老人を、若者たちが思い切りからかい、いじめるというテーマと、スワニルダという婚約者がいるのに自動人形にちょっかいを出す浮気な若者というテーマをくっつけた、フランスらしいバレエだ。シリアスなところがまったくなく、力を抜いて楽しめる。音楽はドリーブによる珠玉の名曲である。
いちばん素晴らしいと思ったのは、群舞も含め、ダンス全体に新鮮な振付がほどこされ、アクロバットの要素が多いため、作品全体が躍動感にみち、軽快で若々しいことだ。この作品は若さと軽さが命である。そうでないと陰惨な老人いじめになってしまう。
老人コッペリウス役のスチュアート・キャシディは、さすが英国ロイヤル・バレエ仕込み、芸が細かい。
小柄な荒井祐子はスワニルダの役にぴったり。東京バレエ団時代から彼女のテクニックには定評があったが、主役を演じることでスケールが大きくなった。
長らくヨーロッパで踊っていた康村和恵は、抜群のテクニックと恵まれた肢体の持ち主。彼女のソロも鳥肌がたつくらい美しい。
熊川哲也自身の踊りも、奇跡のような跳躍と回転を見せ、観客を幸福感で包んだ。日本のバレエ界に新風を吹き込むカンパニーに成長するだろうという期待を抱かせる公演だった。5月19日、オーチャードホール。
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