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30年代の喜劇、ダイナミックに
オン・ユア・トウズ
(日経新聞 2004/5/10)
七十年近く前にブロードウェイで初演されたミュージカル。音楽は大御所リチャード・ロジャース。初演時は、二十世紀を代表する振付家ジョージ・バランシンが振り付けた。今回は、元英国ロイヤル・バレエのプリンシパルで、マシュー・ボーン振付の『白鳥の湖』で一躍世界的スターになったアダム・クーパーの振付・主演。昨年ロンドンで好評を博した。
主人公ジュニア(クーパー)は寄席ダンサーの一家に生まれたが、長じて音楽教師になり、生徒の書いた曲を、ニューヨークに来たロシアのバレエ団に持ち込み、みずから主役を踊ることになる。プリマ・バレリーナとの恋愛遊戯あり、マフィアによる殺人未遂ありのドタバタ喜劇である。映画「赤い靴」と同じく、バレエ史上最も有名なバレエ団であるバレエ・リュスをモデルにした一座が出てくる。
そして劇中劇としてバレエが二度上演される。「ゼノビアの王女」は、バランシンのアイデアを踏襲し、「シェヘラザード」のパロディになっていて、バレエ・リュスのエキゾティスムが思い切り虚仮にされる。「十番街の殺人」(日本ではベンチャーズによるカバーで有名だろう)のほうは、三〇年代のミュージカルだということを忘れさせる、現代的でダイナミックかつエロティックな振付がほどこされている。クーパーとサラ・ウィルドーのデュエットはじつにスリリング(二人は実生活で夫妻である)。惜しむらくは、ウィルドーが太りすぎ。
クーパーはダンスだけでなく、歌もうまいし、演技もいい。分厚い眼鏡をかけた教師が、眼鏡をとると天才的ダンサーに変身するという、スーパーマンから借りた人物設定が成功した。ただ、全体としては、中だるみする部分もあり、やや平凡。18日まで、ゆうぽうと簡易保険ホール。
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