構成の妙で曲に息吹
劇団四季「ソング&ダンスIII

 (日経新聞 2004/1/29)

 劇団四季の「ソング&ダンス」も三回目を迎えた(一回目は一九九九年、二回目は二〇〇〇年)。バレエやオペラでいえばガラ公演。プログラムにある石井啓夫氏の言葉を借りれば、「劇団四季ミュージカルのアニバーサリー(記念)であり、メモリー(思い出)であり、インデックス(索引)」である。
「美女と野獣」「ライオンキング」「ジーザス・クライスト=スーパー・スター」などから採られた曲に、この公演のためのオリジナルが加わり、さらにタップダンスや和太鼓の合奏がある。ひとりが金属ケースを蹴ることから始まり、群舞へと拡大していくタップの場面は秀逸。
選曲はかならずしもヒット曲集ではなく、全体の構成を考えて選ばれている。その構成がうまくできているため、ふつうのミュージカルと違ってストーリーがないにもかかわらず、観客を飽きさせることがない。
 しかも、いわゆる名場面集ではなく、それぞれの曲は元のミュージカルから切り離され、装置も衣装も再現ではなく、「ソング&ダンス」という新たな文脈に放り込まれ、新しい生命を吹き込まれる。これが新鮮さを生み、装置も簡素な金属のフレームだけで効果を上げている。ただ衣装にはもっと変化が欲しかったが。
 これらはすべて、構成・演出・振付のすべてを担当している加藤敬二の力を示すものだろう。彼はトップダンサーとして踊ってもいる。劇団四季ミュージカルの中軸といえよう。
 ただ、シンガーがソロで歌い上げる場面では、歌だけで観客を魅了するにはいたらない。バックにダンスを配したほうがいい。それに、ダンスファンとしてはもう少しスリリングなダンスが欲しかったが、それは無い物ねだりなのかもしれない。歌とダンスがどちらも突出せずにほどよく調和しているのがミュージカルだから。
 劇団四季ミュージカルが現在もっている力とその「まとまり」をよく知ることができる公演だ。2月29日まで、四季劇場秋。(舞踊評論家 鈴木晶)