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猛々しさ、男性が表現
AMP/白鳥の湖
(日経新聞 2003/3/13)
ついにやってきた。一九九五年にロンドンで初演され、翌年にはウエストエンドに進出、九八年には海を渡ってブロードウェイで大成功、ビデオも全世界で驚異的な売り上げを記録しているダンス公演である。
アドベンチャーズ・イン・モーション・ピチャーズ(AMP)はこの作品によって一躍世界的名声を築いた。振付者マシュー・ボーンの頭に、『白鳥の湖』のヒロインを男性にするという、それまで誰も考えたことのなかったアイデアがひらめいた瞬間、この作品の大成功は約束されたといっていいだろう。ただし、思いつきだけの作品ではないし、男性が女装して踊る「お笑い系」のバレエ団とはおよそ無縁。『白鳥の湖』上演史に残る名作である。
舞台は現代のイギリス。主人公の王子は、母親の愛情を得られず、絶望して自殺しようとしたとき、幼いときに夢に出てきた白鳥と出会い、恋に落ちる。だが王子は殺人の濡れ衣を着せられ、脳に手術をほどこされて死に、掟を破って王子を愛してしまった白鳥もまた仲間たちに殺される。
ボーンは、クラシック・バレエの『白鳥の湖』はチャイコフスキーの原曲をじゅうぶんに表現しえていないという。この曲はもっとワイルドなのだ、と。水の上を優雅に滑っていく白鳥も、水面下の足は激しく動いている。バレリーナのチュチュ姿では表現できない白鳥のワイルドさ・獰猛さを表現したかったのだとボーンはいう。男性の白鳥たちは裸の上半身を大きく動かし、首を激しく振り、くちばしで攻 撃する。その動きが音楽にぴったり合っている。
舞台装置も照明も秀逸。
オリジナル・キャストである白鳥役のアダム・クーパーは、圧倒的な存在感、ダイナミックでスケールの大きなダンス、女性の体を舐め回すときのアクの強さで、観客の目を釘付けにした。14日まで、25-28日、オーチャードホール。
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