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シルヴィ・ギエム・オン・ステージ (日経新聞 01/11/26)
シルヴィ・ギエムが東京バレエ団とともに日本全国を縦断している。
「世界最高」「史上最強」といわれるバレエダンサーだが、そうした一般的評価は間違っていない。女優といってもおかしくない美貌、恵まれた肢体、抜群の技巧、そして年齢とともにいや増してきた表現力。どれをとっても無敵である。これまでたびたび来日しているが、そのたびに日本のバレエ・ファンに深い感銘をあたえてきた。
今回彼女が踊る演目は「ラシーヌ・キュービック」「www:ウーマン・ウィズ・ウォーター」「ボレロ」の三作品。私は後の二つを観た。マッツ・エック振付の「www」は日本初演。ただし新作とはいえ、九三年に制作された映像作品を舞台用にアレンジしたもので、たった十分の小品。
舞台にはテーブルがひとつ。ゆったりしたワンピースを着たギエムが後方の闇からあらわれ、テーブルのまわりでソロを踊る。そこには超絶技巧はないが、他のダンサーでは不可能だろうと思わせる、のびやかでありながら深い陰影のある踊りだ。袖から男が登場し、グラスに水を注ぎ、ギエムはそれを飲み干す。ふたたび男が水を満たしたグラスを飲み干すと、彼女は床に倒れ、終わる。
「ボレロ」をギエムは十年前から日本でしばしば踊っている。えんえんと繰り返される単一のリズムにのって、周囲に大勢の男を従え、円形のテーブルの上で、まるで女神のように踊る。日によって違うのだろうが、私が観た日は、ギエムの踊りはずいぶんとあっさりしていた。昨年、この作品を振り付けたベジャール自身のカンパニーで彼女が踊るのを観たときには、男たちとのやりとりがもっとスリリングだったのだが。
私が観た日は、ギエムの踊りの他、東京バレエ団が「テーマとヴァリエーション」「バクチ」「シンフォニー・イン・D」を踊った。「バクチ」の井脇幸江が素晴らしかった。また最後のキリアンの作品をバレエ団がじゅうぶんに踊り込んで、わがものにしているのが印象的だった。(17日、東京文化会館)
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