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フォッシー (日経新聞 01/8/16)
トニー賞を九回も受賞した、ブロードウェイを代表する演出・振付家ボブ・フォッシー(一九二七ム八七)のトレードマークは山高帽。そして目深にかぶった山高帽のつばに手をかけ、膝を曲げてぐっと腰を突きだしたポーズ。
舞台『フォッシー』は、フォッシーの振り付けた名場面集である。彼が全精力を注ぎ込んで制作したといわれる『ダンシン』からのナンバーを中心に、『シカゴ』『オール・ザット・ジャズ』『キャバレー』などのハイライトを二十九曲繋ぎ合わせ、全部で二時間の三部構成に仕立てている。フォッシーのお気に入りのダンサーだったアン・ラインキングが構成し、九八年にカナダのトロントで初演された後、九九年にブロードウェイに進出し、現在なおロングランを続けている。
したがって『ダンシン』と同じくストーリーはなく、二十八人のダンサーが次から次へとダンスを繰り広げる。電球をびっしり並べたプロセニアム(額縁)以外、舞台装置はほとんどなく、背景は黒。ダンサーたちの衣裳も一場面を除いて黒一色である。
ロイド=ウェバーの『オペラ座の怪人』のようなオペラ的・ドラマ的なミュージカルがお好きな向きにはいまひとつ受けないかも知れないが、いっぽうダンス好きにとってはこたえられない作品だ。ブロードウェイのダンスが堪能できるのだから。とくにフィナーレの『シング、シング、シング』は圧巻である。その華やかな雰囲気はまさに「アメリカ的」。
もちろん歌もある。ミュージカルの出来不出来は主演の力量に左右されるが、ベテランのリンガ・ライスの歌唱力にはうっとりさせられる。
フォッシーの振付のいちばんの特徴は腰のひねりである。一言で形容するとしたら、やはり「セクシー」だろう。男たちの、タンクトップからのびた筋肉隆々の腕。女たちの、黒タイツをはいた肉感的な脚。それを見ている観客の九割以上が女性だというのは少々さびしい気がする。男性諸氏にもぜひ観てもらいたいものだ。(9月4日まで、オーチャード・ホール)
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