NANTA公演
(日経新聞 01/4/17)

  ナンタとは韓国語で「乱打」の意。男4人、女1人による、打楽器演奏を中心としたショー。セリフのない芝居ともいえる。80年代に世界的ブームを巻き起こしたサムルノリの流れを引くグループで、99年にエジンバラ国際演劇祭で好評を博し、韓国の外でも知られるようになった。今は4つのグループが同時多発的に公演しており、ソウルには常設劇場ができている。
 最初、暗い舞台で、韓国の伝統的な打楽器が演奏される。と突然、演奏者たちが衣裳を脱ぎ捨てると、その下は料理人の白衣。舞台はレストランの厨房に変わる。支配人が「6時までにディナーを用意しろ」と命じるが、料理人たちはふざけてばかり。所狭しと舞台を走り回り、モップやバケツで遊んだり、皿をフリスビーのように投げ合う芸を見せたりするが、やがて両手に持った包丁で、まな板を叩いてリズムをとりながら、大量の野菜を切り刻んでは、あたりじゅうに撒き散らす。この「包丁パフォーマンス」がいちばんの見どころである。手にしているのが包丁だけに、観ている側はちょっとはらはらさせられる。
 なんとか料理はできあがり、打楽器の乱打と、頭につけた長いリボンをくるくる回す伝統舞踊で締め括られる。
 ニューヨークのオフ・ブロードウェイでロングランされている、片っ端から何でも叩いて音を出すというショーと同様のアイデアだ。実際、演出しているのはブロードウェイのディレクターだという。そのため、韓国の伝統芸能を下敷きにしていながら、ひじょうに現代的で、広く世界に受け入れられるショーに仕上がっている。タップ・ドッグズやリバーダンスと同じく、現代が「リズムの時代」であることを痛感させられる。
 観客を舞台に上げて料理を味見させたり、二組の男女に餃子作り競争をさせて自分たちは袖に引っ込んでしまったり、観客に手拍子をとらせたり、客席に向かって大量のゴムボールを投げたりと、観客との交歓にも気を遣っているが、客席との一体感を高めるには、劇場がちょっと大きすぎた。22日まで、青山劇場。