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スターダンサーズ・バレエ団「MISSING LINK」 (日経新聞 01/2/1)
文化庁の在外研修制度はこれまでにも数多くの優れたアーティストを育ててきたが、昨夏まで一年間、フランクフルト・バレエ団のウィリアム・フォーサイスのもとで研鑽を積んだ鈴木稔(スターダンサーズ・バレエ団バレエ・マスター)が新作を発表した。
二部構成で、休憩を挟んで前半五〇分、後半二〇分だが、運動の総量は前半も後半も同じくらいだろう。というのも前半は動きがすべて緩慢で。後半は猛スピードなのである。
ストーリーのない抽象バレエである。MISSING LINK(失われた環)とは、日常的には埋もれ、忘れられている身体部分とその運動、そしてバレエ・テクニックの隠された可能性を指すのであろう。とくに、照明をぎりぎりまで暗くした前半では、たとえば二人のダンサーが相手や自分の身体を手探りしているようなしぐさが繰り返される。埋もれた部分を探し出そうとするかのように。
後半は衣裳も照明も目に鮮やかだ。フォーサイスの初期の傑作『イン・ザ・ミドル』の影響が明白だが、それを恥じる必要はない。フォーサイスは世界のバレエ界の最先端にいる振付家なのだから。いいものはどんどん吸収したらいい。 面白いことに、後半ではバレエのテクニックが速度も難度も倍増されているにもかかわらず、ダンサーたちはこちらのほうが踊りやすいらしい。このバレエ団には、こんなに踊れるダンサーが大勢いるのだとあらためて感心した。
それに対して前半では、ともすると身体が弛緩しすぎて、ところどころ、つまらないモダンダンスみたいに見えてしまう。でも、振付家の意図はしっかりと伝わってきた。
日本のバレエ界が抱える最大の問題は、優れたダンサーが多いにも関わらず、振付家が少ないことである。当然、鈴木稔のような才能には期待が寄せられる。今回はそうした期待にじゅうぶん応えたとはいえないが、今後への確かな手ごたえは得られた。
世界はより完成度を増すのではなかろうか。
26日、世田谷パブリック・シアター。
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