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WDA「ワールド・ソロダンス・ガラ」
(日経新聞 00/8/10)
東京の夏は年々ダンス公演が増えており、とくに今夏は目白押し状態だが、そんななか、WDA(世界舞踊連盟)主催の国際的なイベント「振付の現在」が開催された。舞踊公演の他、ワークショップ、レクチャー、シンポジウムなどが催されたが、ここに取り上げるのは、世界的に知名度の高い四人のアーティストによる独舞の競演である。
韓国のシンジャ・ホン(洪信子)は、小さな手鏡を小道具に、ほとんど床に膝をついたまま、最小限に切り詰められた動きで、独り芝居的な、あるいは私小説風の世界を現出させた。
ケイタケイの作品では、舞台中央に置かれた布の塊にスポットライトが当たっている。般若心経に合わせ、彼女がそのまわりをぴょんぴょん跳びはねながら、塊から布を少しずつはがして身にまとっていき、ついには自分が、最初と同じ形の布塊となって、スポットライトのなかで横たわる。
黒人のビル・T・ジョーンズは三つの短い作品を繋げて見せた。最初は限られたスペースだけを使って、限られた身体運動のさまざまな組み合わせを見せ、次は、みずから民謡を歌いながら踊り、最後はモーツァルトに合わせ、筋肉隆々の身体でのびのびと踊った。
93歳の大野一雄は、いまや暗黒舞踏という文脈から離れ、「大野一雄の舞踏」としか呼びようのない天衣無縫な舞踏を見せる。ちょっとした指先の動きにも、観客の眼は釘付けになり、枯れ木のような老いた身体がよろよろと歩くだけで作品になってしまう。
この4人は、いずれも伝統的なダンスのスタイルとの訣別から出発し、つねに前衛たらんとしてきた人たちである(ダンスになじみのない人はきっと「え、これもダンス?」と首を傾げるだろう)。そのため、舞台活動がいずれも30年近く、あるいはそれ以上(大野にいたっては半世紀以上)に及ぶにもかかわらず、円熟とか老成といった形容が似合わない。4日、世田谷パブリックシアター。
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