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愛と暴力/AMP「ザ・カー・マン」 (ダンスマガジン 2002年7月号)
『ラ・シルフィード』のパロディである『ハイランド・フリング』や、孤児院を舞台にした『くるみ割り人形』で注目を浴び、王子と男性の白鳥とのゲイ恋愛を描いた『白鳥の湖』によって世界的に大ブレイクした、マシュー・ボーン率いるAMP(アドヴェンチャーズ・イン・モーション・ピクチャーズ)が、新作『ザ・カー・マン』をもって、ついに来日した。長いこと待たれていた来日公演である。
カー・マン(自動車の男)を複数にすればカー・メン、つまりカルメンの英語読みだ。そう、彼らがもってきたのはAMP版『カルメン』である。
マシュー・ボーンは舞台をアメリカの田舎町に変え、前半ではカルメンに相当する肉感的な人妻ラナ(サラーン・カーティン)よりも、ホセにあたる放浪者ルカ(アラン・ヴィンセント)を主役に据える。ふたりは共謀してラナの亭主を殺し、罪をなすりつけられた弱々しい男アンジェロ(ラナの妹の恋人、アーサー・ピタ)は投獄される。だが、話はそう単純ではない。愛撫を終えてルカが車から出てきた後に車から這い出してくるのは、ラナではなく、ルカに恋するアンジェロなのだ。後半は、脱獄してくるアンジェロが主役となり、ドラマはさらに盛り上がる。ここでは「宿命の女」カルメンではなく、「宿命の男」である放浪者ルカが、ラナやアンジェロのセクシュアリティを容赦なく暴いていく。
前半はプリセツカヤの踊ったアロンソ版『カルメン』で知られるシチェドリンの編曲(ボーン自身も語っているが、名曲である)を使っているが、それだけでは短いので、他の曲を加えている。
バレエの上昇志向性に対して、ボーンの振付は地を這うようだし、彼の振付はけっして語彙が豊富ではないから、バレエに慣れた眼にはいささかワンパターンに見えるかもしれないが、他では見られない独特の雰囲気を醸し出し、最後まで退屈させない。(配役は4月10日の公演)
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