A-e-1 ヨークシャー・ムア Yorkshire Moor
| 英国で最も人気のある児童書といえば、『たのしい川べ』『不思議の国のアリス』『秘密の花園』の3冊である。そして『秘密の花園』といえばヨークシャー・ムアだ。子どもの頃に読んだ本では「荒れ地」と訳されていた。荒れ地って、どんなところだろうとずっと思っていた。実際に行ってみるまで、いまひとつイメージが湧かなかった。百聞は一見にしかず、とはよく言ったものである。 8月も後半になると、いっせいにヒースの花が咲いて、丘全体が見渡すかぎりピンク色の絨毯を敷き詰めたように染まり、かすかな、爽やかな香りがあたりじゅうに漂う。 |
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| 英国で何より美しいのは田舎だ(日本の田舎はどうしてこんなに醜いのだろう)。そして英国の田舎でいちばん楽しいのは「ウォーク」、つまり歩くことだ。いたるところに Public Footpath という、いってみれば「遊歩道」があって、そこを歩くのである。私有地(Private Estate)の中にも Public Footpath が通っているから面白い。 ムアの中では、道がないところを歩く。ところどころ、ぽっかり穴があいているので要注意。 サンドイッチと、熱いティーを入れた魔法瓶をもって(そして雨具を用意して)、ひたすら何時間も歩く。歩きながら思索し、歩きながら自然を肌で感じる。 |
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| ムアにはヒース(heath)しか生えていない。土地が痩せていて、何を植えても育たない。ムアにいるのは羊だけ。羊もヒースは食べない。その間に生えている草を食べるのだ。 | ![]() |