A-a-2 ハムステッド・ヒース

ハムステッド・ヒースは、ロンドンを代表する公園のひとつだが、リージェンツ・パークやハイド・パークのような整備された人工的な公園と違って、ほとんど原始林である。歩いて横断すると1時間以上かかる。
むかしは盗賊のすみかだったらしい。ブラウン神父シリーズにも、犯人がここに逃げ込む話があるし、ドラキュラの最初の犠牲者はここで襲われた。
 今でも夜はこわい。
 当時、娘は小学校5年生。よく家族でハムステッド・ヒースに出かけたが、道に迷ってうろうろしているうちに日が暮れて、こわい思いをしたこともある。

木登りおじさん。
木登りおばさん。
ハムステッド・ヒースの中に、パーラメント・ヒルと呼ばれる丘がある。私の大好きな場所である。向こうに見えるのはハイゲイトの町並み。むかしここで政治的な会議が開かれたとかで、そういう名前がついている。別名カイト・ヒル。日曜日ともなると大勢が凧をあげている。私もよく日本からもっていった凧を揚げた。いつでも風が吹いているのである。
パーラメント・ヒルで。母と。
 ハムステッド・ヒースの北の部分はケンウッドの森と呼ばれる。これはそこにある美術館。昔は領主の館だったのであろう。
 屋敷の前は広い芝生で、週末には大勢がピクニックをしている。
 夏のあいだ、ケンウッドでは毎週末、コンサートが催される。ロイヤル・オペラがコンサート形式でオペラを上演したりもする。また、日によっては終演後に花火が打ち上げられるが、日本より技術が未熟なのか、時どき、客席のほうに火の粉が降ってくる。
 みんなバスケットにお弁当を詰めてもっていき、寝っ転がって聴くのである。
 うちらはおにぎりとか、お寿司を作ってもっていった。
 コンサートは有料だが、囲いの外で無料で楽しむこともできる。
 コンサートに興味のない娘は漫画を読みふけっている。