b クルマ Car

 イギリスはアメリカ同様、クルマ社会である。ロンドン市内にいるぶんには、クルマはかならずしも必要ではないが、ひとたび旅行に出ようとすると、どうしてもクルマで行く必要がある。少なくともクルマのほうが活動範囲がはるかに広くなる。
 私は2年近く住んでいたので、クルマを買った。友人から中古を30万円くらいで買い、1年後、20万円くらいで売って帰ってきた。1年間さんざん乗り回して10万円しか、かからなかったわけである。クルマ社会だから、個人どうしの中古車売買はさかんである。
 レンタカーは比較的高いし、ガソリンも安くないが、特筆すべきは高速道路が無料だということである。私は鎌倉に住んでいるが、東京までクルマで行くと、高速料金だけで往復4000円くらいかかる。だからめったにクルマは使わない。イギリスで長距離の旅行をするなら、やはりクルマである。
 ロンドン市内の駐車料金は驚くほど高い。駐車禁止の場所に路上駐車すると、すぐに罰金をとられる。夥しい数のトラフィック・ウォーデン(交通警官)がいたるところで目を光らせている。地方に行っても、かならず駐車場に止めなくてはダメである。そして駐車場にとめたら、かならず駐車料を払わなくてはだめである。そうしないと、何倍もの罰金をとられる。
 イギリスで運転するのは易しい。ただしロンドン市内は別で、ハイド・パーク・コーナーのような巨大ラウンドアバウトでは、いったい自分がどこへ行こうとしているのか、わからなくなる。
 ラウンドアバウト(ロータリー)は、うまく考えられたシステムだ。日本の田舎などでは、まわりに一台もクルマがいないのに、赤信号で止まらなくてはならなかったりする。そういう馬鹿げたことを避けるためにあるのがラウンドアバウトである。
 左折する場合は、左折のウィンカーを出して左に寄ってラウンドアバウトに入る。左折ウィンカーを出したまま、左折する。
 直進の場合は、ウィンカーを出さず、ラウンドアバウトに入り、1本目を過ぎたとことで左折ウィンカーを出して左折する。
 右折の場合は右折ウィンカーを出して右に寄ってラウンドアバウトに入り、2本目を過ぎたら今後は左折ウィンカーを出して曲がる。
 注意すべきは、「右方優先」だということである。右からクルマがきているときには、ラウンドアバウトに入ってはいけない。
 ふつうの交差点で右折するとき、日本ではおたがいに手前で(つまり対向車線の右折者を左に見るようにして)右折する。イギリスでは、本来、その反対である。つまり対向車線の右折車とすれ違ってから、右折する。ところが、最近、日本と同じようになってきたので、ちょっと迷い、こわい。
 イギリスではナンバーで、そのクルマの年式がわかる。Aから順番にアルファベット準になっている。ただしI とO は数字と紛らわしいので、ない。いまはV だったかなあ。E とかF とかだったら、かなり古いということである。
 私の個人的意見だが、日本よりもイギリスのほうがクルマの運転はしやすい。ドライバーたちが親切だからである。日本では、ちょっと発進が遅れたら、後ろからブーブー言われるし、行列の途中に入れてもらおうとしても、なかなか入れてもらえない。その点、イギリスでは、たとえば左車線にいて、急に右折したくなっても、道を譲ってくれる。
 ただし高速道路を走っていると、かなりスピード狂が多いことがわかる。180キロくらいでバンバン飛ばしている。追い越し車線をのろのろ走っていると、パッシングはされるし、けたたましくクラクションを鳴らされる。