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バス ロンドンといえば、真っ赤なダブルデッカー(2階建てバス)が思い出されるが、1階の普通のバスも多いし、ワンマンも多い。
古典的なダブルデッカーは後ろがオープンになっていて、飛び乗ったり飛び降りたりできる。老人には勧めない。転んで骨を折る危険性がある。乗り込むと、車掌が「パス、プリーズ」と言いながら検札に回ってくる。いろんな車掌がいて面白い。客からリクエストを募ってヒットソングを歌い続けている黒人女性の車掌に会ったこともある。これがじつにうまいのである。
ワンマンの場合は、前から乗って(このときに運転手にカネを払う)、降りるときはブザーを押して、後ろの自動ドアから降りる。
ロンドンのバスの「不定期」ぶりは有名である。バス停の時刻表には15分おきと書いてあるのに、30分待っても来ない、なんてことはざらにある。やって来たかと思うと、2台も3台も並んできたりする。
交通渋滞のせいだと思うが、そればかりではないようだ。というのも、有名なコラムニスト、ミケシュ・ジョルジ(ジョージ・マイクス)の『イギリス人になる方法』にも、そういうことが書いてある。
ミケシュも書いているが、バスの運転はものすごい。急発進、急停車は常識である。車線変更するときはほとんど真横に移動する。
町の景色を楽しみたければ、2階の最前列に陣取ることをお勧めするが(たいてい観光客が陣取っている)、ジェットコースター気分になることもある。私は2度ばかり吐きそうになった。
ちなみに、所変われば品変わるで、ロンドンではバスといえば真っ赤だが、ダブリンでは緑(アイルランドのナショナル・カラー)である。
地下鉄 ロンドンの地下鉄は世界一古い。車両は世界一小さいのではなかろうか。周知の通り、アメリカでは地下鉄を
subway 、地下道を underground といい、イギリスではその正反対である。
ロンドンではふつうチューブと呼んでいる。トンネルが丸いのである。日本など他の国では、車両とトンネルの壁との間にある程度の空間がある。
私は一度、パリの地下鉄が故障で止まってしまい、次の駅まで真っ暗なトンネルの中を歩いたという経験があるが(パリで暮らしていた人にとっては珍しいことではないのかもしれない)、ロンドンの地下鉄の場合、車両とトンネルの壁は文字通り目と鼻の先である。ほとんど隙間がない。だから閉所恐怖症の人はやめたほうがいいと思う。
では事故が起きたとき、どこから脱出するかというと、一番前か後ろである。
トンネルの丸い形に合わせて、車両も丸いので、ドアの近くに立つと、背の高い人だと頭がつかえる。ロンドンの地下鉄は19世紀からあるが、開通した当初はまだ平均身長が低かったせいだろう、とにかく天上が低い。
ちなみに、イギリス人がいまのような身長になったのは20世紀になってからのことで、それまでは今よりもずっと小さかった。だから古い劇場は前の座席との間隔が狭く、脚がつかえる。
地下鉄の駅の地下道はクサイ。小便の臭いである。これは地下道や路地も同じで、物の本によると、むかし馬車の御者はタチションをしてもよかったのだそうだ。その伝統が残っているせいだというが、これは眉唾である。そんな伝統が残るものだろうか。パブで呑むビールが関係しているのかもしれない。
バスもそうだが、地下鉄は高い。しかも、たびたび値上げしている。東京の地下鉄の倍と考えたらいい。
奇怪なのは、乗り越しができないということである。先日、ブレア首相夫人が乗り越しで捕まって話題になったが、切符は「かならず目的地まで」買わなくてはならないのである。途中で気が変わって、その先まで行こうとすると、そして運悪く検札にぶつかると、日本なら乗り越し料金を払えばいいわけだが、イギリスでは罰金をとられる。どうしてか、私にはいまだに理解できない。
些細なことだが、日本の場合は、自動改札で、切符を機会に入れ、改札口を通り抜けたところで機械から切符をとるが、イギリスの場合、切符を入れ、それを引き抜くと、改札口が開くようになっている。
私がかねてから日本も真似をすべきだと主張しているのは、座席である。たいてい一人ずつ肘掛けで区切られている。だから日本みたいに中途半端にすわることがないし、デブが1.5人分占領するとか、バカな男が大股開きですわるといったことがありえない。
タクシー あのオースチンのブラック・キャブはつとに有名だが、最近は黒ばかりではなく、ピンクとか黄色のタクシーも走っているし、車体全体が広告になっているクルマも少なくない。たいてい5人乗りだが、後ろ向きの席にすわると車酔いしやすいので、クルマに弱い人は要注意。助手席には人を乗せない。荷物は載せてくれる。
大きいのはいいが、サスペンションがわるいし、座席も硬くて座り心地がわるい。音もうるさい。エンジンが小さいのだろうと思う。でも、たしかに運転手はロンドンじゅうの道を知っている。もちろんチップは必要である。運転はバス同様、かなり強引である。土日、深夜は追加料金をとられ、人数が多いと、やはり追加料金をとられる。
ここ10年くらいイギリスには行っていない、という人はミニ・キャブを知らないだろう。ここ7、8年くらいの間に急速に普及したタクシーで、流しは禁じられており、電話で呼ぶ。ブラック・キャブよりもずっと安い。半額くらいである。しかもチップ不要である。運がよければぴかぴかの新車だが、悪ければおんぼろクルマである。運転手はほとんど外国人である。
こんなことを書くと人種差別と言われるかもしれないが、黒人の運転はひどい。おまけに音楽を大音響でかけている。ヴォリュームを下げてくれ、なんて、怖くて言えない。
また、道の指示を間違えたりすると、すぐにカーッとなって怒鳴りちらすこともある。
黒人差別はいけない、などともっともらしいことを言う日本人は外国に行ったことがない人で、ニューヨークでも、黒人は黒人運転手を避ける。そういう事実を知らないで、「人種差別反対」などと言ってはいけない。
鉄道 日本の国鉄はイギリスのBRを真似てJRと称するようになった。最近の学生は国鉄という単語も知らないようだ。私が子どもの頃には、祖母はまだ「省線」と呼んでいた(おお、ATOK
には「省線」という単語が入っているぞ、えらい)。
イギリスのBRはよく遅れる。真夏にエジンバラからロンドンに帰るとき、2時間も途中で止まっていて、蒸し焼き寸前になった。
駅のポスターを見ていたら、「今期の目標と達成度」というのがあって、よくみてみると、達成目標が90パーセントとなっていて、達成度は90パーセントと書かれている。100%目標を達成しようという意欲は最初からないのだ。「現実的」といえば、たしかに現実的ではある。90%の90%だと81%だが、81%達成と書くより、90%達成と書いた方が達成感が高いものねえ。
複雑怪奇なのは料金システムである。いろいろな割引があるので、これを研究すると賢い倹約旅行ができる。たとえば家族割引というのがあって、子どもはどこまで行っても1ポンド(175円)である。
通勤時間は高くて、ピークを外すと安いとか、あらかじめ買っておくと安いとか、いろいろあるので、賢い旅のためにはじっくり研究する必要がある。
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