公開授業「異文化と身体表現/日中韓の舞踊」

2003年6月9日(月)15.00-16.30 於・ボアソナード・タワー26階スカイホール

(1)日本舞踊 

演目 京鹿子娘道成寺(長唄)

解説 丸茂祐佳(日本大学芸術学部演劇学科助教授)
演舞 若柳美香康
 
 
 
 舞踊家紹介 正派若柳流師範。日本舞踊協会会員。若柳流第一期研修生修了。日本大学芸術学部演劇学科日本舞踊コース卒業、同大学院芸術学研究科舞台芸術専攻修了。日本舞踊協会群馬県支部日本舞踊コンクール最優秀賞受賞、邦楽と舞踊出版社主催日本舞踊コンクールにて清元「子守」大会賞、長唄「藤娘」奨励賞。
 

和歌山県の道成寺に、修行僧安珍に恋をした清姫が蛇となって道成寺まで安珍を追い、安珍が隠れた鐘もろともに焼き溶かしてしまったという伝説がある。「娘道成寺」の素材はその後日譚で、白拍子に化けた清姫の怨霊が道成寺の鐘供養に現れて、さまざまな娘の踊りを披露するうち執心のこもった鐘に飛び入り、蛇体となって現れるという内容。原典は能の「道成寺」だが、みごとに換骨奪胎して歌舞伎の女方舞踊の最高峰に位置付けられている。初演の初世中村富十郎は「むずかしい振りで踊ったならば、後世にこの踊りは伝わらない。」と言ってあえて易しい振りで踊ったという。それから今日にまで250年の変遷を経て、この間名優が様々な演出の工夫をし、数多くの芸談を語った。また、日本舞踊の流派に「衣裳の色で踊る」(藤間流宗家)「女の一代記を踊る」(花柳流)などの口伝がある。
(2)韓国舞踊

演目 サルプリ・チュム、長鼓舞(チャンゴ・チュム)

解説・演舞 李七女
 
 
 
 
講師紹介 韓国ソウル生まれ。6歳で踊りに出合い、韓国の人間国宝の李梅芳氏をはじめ、数人の舞踊家や音楽家に師事、舞踊・楽器・民謡を磨く。1987年お茶の水女子大学舞踊教育学科に留学。2002年3月に博士課程修了(学術博士)。現在、お茶の水女子大学院の特別研究員、文教大学国際学部の非常勤講師を勤める。
 

サルプリ チュム(→)
 
「サルプリ チュム」は、サル(厄・悪気)をプリ(解く・解決)するチュム(踊り)のことを示す、もっとも伝統ある巫俗の踊りである。サルをプリする巫は、サルプリという伴奏音楽に合わせて踊る。その踊りを通して、神へと接することができ、一般人とは異なった神秘的、超人的異質性が与えられたものとしてみなされた。しかし、社会変貌とともに、巫女による儀式の必要性が、しだいに薄れてくると、当人たちは旅芸人や芸者に身分を変えてゆき、踊りもまた本来の機能を失いつつ、美しさが強調され、いまのような洗練された舞台芸術として磨き上げられた。一人の踊り手が、長いスゴン(白色の布)を持ち空中に投げたりやさしく包んだりして無数の曲線を描きながら踊るこの舞は、現在韓国重要無形文化財第97号に指定されている。
長鼓舞(チャンゴ チュム)(→)
 
チャンゴは中国から伝来され、初めは宮中楽のみで使われたが後に俗楽(民間楽)でも広く使われるようになった太鼓のことをいう。この舞は、農楽(苦しい農作業を楽しく、また無理なく遂行するために生まれた民族遊戯、集団演奏)のなかの個人遊戯から改作されたものである。長鼓を肩に掛け右手にヨルチェ、左手にクングルチェをもって、叩きながら踊る。初めはゆっくりした長短(チャンダン、音楽リズムパターン)で踊り、次第に早くなっていくと、手の動きは楽器の演奏のみとなる。そのときの足の動きは走ったり、跳びはねたり、実にダイナミックなリズムを創出する。
(3)モンゴルと中国の民俗舞踊

解説・演舞 鳳仙功舞踊団

出演者紹介 鳳仙功舞踊団は、中国の舞踊家・振付家の大鳳真陽が来日後、1985年に日本人女性ダンサーのみによって結成した舞踊団。中国民俗舞踊を習得しつつ、独自の「鳳仙功舞踊」を披露する。これは、美と生命の象徴である鳳凰や仙女、大自然の姿、生命の輝き、躍動宇する生命力を表現し、流れるような動きと鮮やかな色彩、心を癒す音楽が特徴。

モンゴルの茶碗の舞(→)

両手に小さな茶碗をもち、それを鳴らしながら、茶碗を頭にのせて、それを落とさないように踊る。肩を揺する独特な動きが、この舞の特徴。

中国民間舞踊より「茶摘みの踊り」(→)

(←)鳳仙功舞踊「宇宙の樹」

大地にしっかりと根を下ろし、天を目指して伸びていく樹の姿を描いている。

鳳仙功舞踊は、たとえばリバーダンスなどと同様に、伝統舞踊を下敷きにした現代舞踊である。