11

安藤洋子/フォーサイス
(2月25日 世田谷パブリックシアター)

 最初の「ウェア」が、フォーサイスが安藤のために振り付けた作品。事前にはソロだということになっていたが、実際は彼女と男性2人が踊る。これには面食らった。暗い舞台上に、毛布のようなものでできたテントみたいなものがある。ホームレスが段ボールで作った住まいのようにも見える。登場人物たちはダウンコートのようなものを着ている。ぼろをまとったホームレスに見えたのだが、後で人づてにきいたら、ロバート・ファルコン・スコットをテーマにした作品だという。だとすると、ホームレスの家みたいなものはテントで、ダンサーたちがまとっているダウンコートは防寒服なのだ。それを教えてくれた人は、どうしてスコットなのか、までは教えてくれなかった。最近、シャクルトンはちょっとしたブームだが、スコットがブームだという話は聞いたことがない。
 それはともかく、とにかく驚いた。ダンサーたちの動きがまるでジョゼフ・ナジか、田中泯みたいなのだ。フォーサイスもついに暗黒舞踏に帰依したのか、と思った。途中からはそうでもなくなったのだが、それにしても、以前みたフォーサイスとの違いに驚かされた。
 考えてみれば、フォーサイスという人は行くところまで行き、極限をきわめてしまったのだ。もう先はないというところまで行ってしまったから、まったく別の方向にすすむしかないのだろう。
 他の二作品「N.N.N.N.」と「クインテット」は、以前のフォーサイスに近いが、それでもそこには以前の売り物だったスピード感はない。
 コンタクト・インプロヴィゼーションに似ているが、それよりも合気道によく似ているなあと思いながら見ていた。
 会場には野田秀樹、坂本龍一、浅田彰らの顔が見えた。
 安藤洋子の身体はフォーサイスの作品を踊るにはちょっと華奢すぎて軽すぎると思った。フォーサイスはどう思っているのだろうか。

目次に戻る