貴重な公演である。昼夜たったの2回公演では本当にもったいない。もっとも、多くのバレエ・ファンは外国からくるバレエ団にばかりお金を投じ、こういう地味な、だが本当に貴重な公演にはあまり顔を出さないのかもしれない。
エスメラルダは、ロマンティック・バレエ最大のコレオグラファー、ジュール・ペローの代表作のひとつで、ロンドンで初演された後、ペテルブルクでも上演された。そのおかげでロシアで生き延びたのだった。その事情は『ジゼル』の場合と似ている。
むろんペローの振付がそっくり残っているわけではなく、プティパがかなり手を入れた。さらにその後、ワガノワやグーセフが手を入れているので、どの程度原型を留めているのか、われわれにはわからないが、ところどころに『ジゼル』とそっくりの振りがあることから察するに、部分的にはペローの振りがそのまま残っていると考えられる。
また、演出振付のエリザリエフ(ベラルーシから来た)がこの作品を改訂した目的は、たんに古い版を復元することではなかったようで、ワガノワが挿入した「ディアナとアクテイオン」をそのまま使っているし、結末を工夫している。
顧問の薄井憲二先生の尽力によるものだが、NBAバレエ団は本当にいい仕事をする。