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バレエスタジオミューズ「それからのアリス」
(2月2日 大阪シアター・ドラマ・シティ)

 このバレエ団は初めてみた。このホールにもはじめて行った。新宿コマ劇場の地下にシアター・アップルがあるように、梅田コマ劇場の下にはシアター・ドラマ・シティがあるのだった。
 タイトルがわるい。前に「不思議の国のアリス」を上演し、今回はそれの改訂版だというので、このタイトルがついているらしいが、そういうときは「それからの」というのは使わないものである。「それからの武蔵」「それからのニジンスキー」など、「それからの・・・」というのは後日談を示すので、「不思議の国」「鏡の国」を経験したアリスのその後を描いているのかと思ってしまう。
 『不思議の国のアリス』は傑作中の傑作であるから、これまで無数の芝居、ミュージカル、ダンスが使われてきたが、どういうわけか、面白いものが少ない。原作が面白すぎるせいか。宮沢章夫作で神田うのが主演した「アリス」も、信じられないくらいつまらなかった。
 さてこの作品のストーリーは「不思議の国」そのままである。コーカス・レース、芋虫、伯爵夫人、チェシャ猫、キチガイお茶会など、エピソードを全部入れたため、長い。前半60分、後半70分である。長すぎる。いや、面白ければ長くともいいけど、ところどころ冗長になっている。つまらない部分を切り捨て、エピソードをいくつかに絞って、じっくりダンスを見せてみらいたいものである。90分くらいにしたら、もっと見やすいだろう。
 また、振付家のセンスがわるい。おなじみの青いワンピースを着た(これはディズニー版ですよ!)アリスのほかに、眠っているアリスを登場させるのだが、そうした設定の意義がわからない。アリスをふたりに分けることによって、どんな面白さが出てきたというのか。ただの思いつきにしかすぎないように思われる。才能のない人ほど、夢とか精神病院を使いたがる。
 次に、振付家の趣味がわるい。眠っているアリスをふたりの男たちが無理やり目覚めさせようとするのだが、まるでふたりがかりで少女を強姦しているみたいに見えるのである。振付家の頭にそうしたイメージがあるせいだ。見ていて、あまり愉快でない。
 その他、細部にはいろいろ問題があるが、それを全部吹き飛ばしてしまうくらい魅力的だったのが、主役の康村和恵である。このひと、はじめてみた。ドレスデン国立か劇場バレエのファースト・ソリストだそうであるが、世界のトップクラスのバレリーナである。体がやわらかいし、難なく脚を頭の上まであげてしまう。そのしなやかさのなかに、なんともいえない高貴さが感じられる。
 このひとを発見したのは大収穫であった。2年前の「ジゼル」を見なかったことが悔やまれる。

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