熊川哲也 The Confession (3/28 東京文化会館)これについては「ダンスマガジン」に執筆を依頼され、6月号に書いた。全体に好印象をもった。とくに「ボレロ」は見違えた。うっすら髭を生やした熊川はなかなかいい。
ベジャール・バレエ・ローザンヌ「少年王」(4/5,6 東京文化会館)これは日経新聞に書いた。「タンゴ」は前から好きな作品。ジル・ロマンとエリザベット・ロスのデュエット「ホワンとテレサ」は退屈。「少年王」は、傑作とはいえないが、あたたかい作品。せりふがちょっと多すぎるが。なお、「バレエ・フォー・ライフ」は日本で観ると、観客が乗らないのでつまらないと思って行かなかったが、今回は前回と違って観客の反応は良かったそうだ。ビデオでは10回以上観ている。ロンドンのサドラーズ・ウェルズで観たときには、カーテンコールのときに元クイーンのメンバーが舞台に登場して、観客は熱狂していた。「ガラ」は、たぶんゲテモノだろうと思って行かなかった。
AMP「ザ・カー・マン」(4/10 オーチャード) ロンドンでみて、「ダンスマガジン」に紹介したが、今回も「ダンスマガジン」に書くはめになった(どうも批評家の間では評判が悪く、書きたいという人がいなかったらしい)。キャストが、ロンドンで観たときのほうがずっとよかった。ダンサーの名前は全然覚えていないが。
韓国国立バレエ団「ジゼル」(4/25 東京文化会館) 韓国のバレエ団としてはユニヴァーサル・バレエ団のほうが世界的に有名だ。何しろ統一協会のお抱えバレエ団だから、財政が豊かで、世界各地で公演している。国立バレエ団のほうは、噂はきいていたが、観るのは初めて。プログラムに原稿を書いたので(演目解説)、批評はどこにも書いていない。アルブレヒトのジャン・ウンキュは好みのタイプではない。技術的にはまあまあ。ジゼルのキム・ジヨンはちょっと地味すぎ。おまけにスポット・ライトがなぜか非常に弱かったので、主役が目立たず、気の毒だった。コール・ド・バレエの水準はわるくない。
韓国国立バレエ団「白鳥の湖」(4/29 東京文化会館) グリゴローヴィチ版をレパートリーにしているなんて、なかなか偉いではないか。グリゴローヴィチ版は嫌いだという人は多い。たしかに問題点はいろいろあるが、たまに観るとなかなか楽しい。歴史的にも重要な版である。日本のバレエ団でも、この版を踊りこなすのはなかなか大変なはずである。王子役のリ・ウォンクックはテクニシャンだというから期待していたのだが、少々期待はずれ。キム・ジュオンは迫力があってすごくいい。日本でもトップ・クラスと肩を並べるだろう。
小島章司+クリスティーナ・オヨス(5/8 ル・テアトル銀座)峠を過ぎた二人の、観る者をしみじみとさせる舞台であった。カンテ、ギターとも、たぶん超一流の人たちなのであろう、すばらしかった。
新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」(5/22 新国)久しぶりに心の奥底から感動した。何にって、酒井はなにである。私は以前から彼女のファンだが(じかに会っても、すごくいい子!)、またまた見直してしまった。キトリのソロのなかに、後ろに足を蹴り上げてからアチチュード、というのを繰り返すところがあるが、そのアチチュードの美しさに思わず涙がこぼれた。グランパのコーダも見事。奇跡のような32回フェッテであった。私はこういう芯のしっかりしたダンサーが大好きだ。しばし茫然としてしまった。
それに比して、佐々木大のほうは欠点があらわになってしまった。つまり、「力任せ」であることが目立ってしまった。勢いにまかせて足を蹴り上げる、空中で力任せに脚を開く。それが鼻についてしまう。着地もまずい。荒っぽすぎるよ。ピルエットの軸が傾くのも気になった。数年前のあの素晴らしい佐々木大はどこに行ってしまったの? 観客の反応をみても、彼の超絶技巧は冷たく迎えられたようである。というか、今回は完全に酒井はなに食われてしまった。髪型もよくなかったねえ。
余談ながら、朝日新聞に海野敏くんが韓国組の日の批評を書いていたが、下半身がどうのこうのとバレエの先生みたいなことを大新聞に書くのは、いかがなものか。彼は技術批評を目指しているらしいが。いったいどういう読者を想定しているのであろうか。