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データ
イギリス映画 1980年
製作総指揮:ハリー・サルツマン
製作:スタンリー・オトゥール/ノラ・ケイ
監督 ハーバート・ロス
原作 ロモラ・ニジンスキー『その後のニジンスキー』
脚本 ヒュー・ホイーラー
撮影 ダグラス・スローカム
音楽 ジョン・ランチベリー
美術 ニコラス・ジョージアディス
配役 ディアギレフ(アラン・ベイツ)
ニジンスキー(ジョルジュ・デ・ラ・ペーニャ)
ロモラ(レスリー・ブラウン)
フォーキン(ジェレミー・アイアンズ)
カルサヴィナ(カルラ・フラッチ)
チェケッティ(アントン・ドーリン)
マリヤ・ピルツ(モニカ・メイソン)
ガンズブルク男爵(アラン・バデル)
ストラヴィンスキー(ロナルド・ピックアップ)
バクスト(ロナルド・レイシー)
ストーリー
ニジンスキーの伝記映画。ロモラ・ニジンスキーの『その後のニジンスキー』を原作にしている。伝記映画といっても一生を追っているわけではなく、1912年、ロモラがブダペストで初めてニジンスキーの舞台をみてから、翌年、ニジンスキーがバレエ・リュスを解雇されるまでのほぼ1年間を追っている。
ハンガリー人の金持ちの娘ロモラはブダペストでバレエ・リュスの舞台をみて、ニジンスキーの惚れ込み、「絶対にこの人と結婚する」と心に誓う。彼女はバレエ・リュスを追いかけていき、コネをつかってディアギレフに接近し、バレエ団に潜り込もうとする。ディアギレフは彼女の財力を期待して、チェケッティのレッスンを受けるという条件でOKする。ロモラはチェケッティの個人レッスンを受け、なんとかバレエ・リュスのコール・ド・バレエにもぐりこみ、ニジンスキーに近づくチャンスをねらうが、ニジンスキーは彼女のことなど眼中にない。
バレエ・リュス初期の作品はすべてフォーキンの手になるが、ディアギレフはひそかにニジンスキーを振付家にしようと考え、ニジンスキーもフォーキン」にないしょで「牧神の午後」の振付に取りかかる。ディアギレフとフォーキンの関係は悪化し、やがてフォーキンは「ホモ野郎たち」と吐き捨てるようにいって、バレエ・リュスから去っていく。
バレエ・リュスは南米巡業に出発するが、なぜかディアギレフは同行しなかった。南米に向かう船のなかで、ロモラは他の団員たちとは別に、自費で一等船室をとり、やはり一等船室で旅していたニジンスキーに接近する。ニジンスキーは、新作『ヨゼフ伝説』の振付をディアギレフがフォーキンに依頼したという噂をきいて、自暴自棄になり、衝動的にロモラを抱く。ふたりはほとんど言葉が通じなかったにもかかわらず、南米に着くやいなや、ふたりは結婚式を挙げる。
だが、ニジンスキーはディアギレフの怒りを買い、バレエ・リュスを解雇され、バレエの才能のないロモラと結婚したことを後悔する。ロモラはディアギレフのもとを訪れ、ニジンスキーを復帰させて欲しいと頼むが、ディアギレフは相手にしない。
やがて、ニジンスキーは精神病を発病させる。
メモ
ニジンスキーの伝記映画の企画は、彼の生前からあった。妻のロモラが、夫の治療費を稼ぐために、映画化に積極的だったのである。だが結局、それは実現しなかった。1980年になって初めて、ハーバート・ロスが手がけたのだった。
どうして南米巡業にディアギレフは同行しなかったのか、どうしてニジンスキーは言葉も通じない女性と衝動的に結婚したのか、どうしてディアギレフはニジンスキーを解雇したのか、これらの問題はいまだに専門家の間でも謎だが、ここではロモラの説、すなわち南米巡業に同行したガンズブルク男爵(ロシア系ユダヤ人貴族)が、ディアギレフを出し抜いて、ニジンスキーを引き抜いて新しいバレエ団を結成しようと画策していたという説を採っている。
伝記映画だから、「そっくりさん」がいろいろ登場する。ストラヴィンスキーもバクストもグリゴリエフも、なかなか似ている。
また、アントン・ドーリンがチェケッティを、カルラ・フラッチがカルサヴィナを演じているところなど、バレエ・ファンにはこたえられない。
当然、バレエ・リュスのレパートリー、『カルナヴァル』『薔薇の精』『シェエラザード』『ポロヴェツ人の踊り』『牧神の午後』『遊戯』『春の祭典』などが劇中で上演され、バレエ・リュスの雰囲気がよくわかるといえよう。
当時、『遊戯』や『春の祭典』の振付はまったくわからなかったので、これらについてはケネス・マクミランが振り付けている。
『春の祭典』の主役マリヤ・ピルツは、ロイヤル・バレエのモニカ・メイソンが演じているが、全体はロイヤル・バレエではなく、ロンドン・フェスティバル・バレエ(現在のイングリッシュ・ナショナル・バレエ)が出演している。
なお、美術は、ケネス・マクミランとの共同作業で知られるジョージアディスが担当している。
アラン・ベイツ(1934-)ディアギレフのそっくりさんを演じている。私はどうも『その男ゾルバ』『ジョージー・ガール』『遥か群衆を離れて』『結婚しない女』などのベイツとこの映画のベイツとが一致しない。よほど気合いを入れてディアギレフになりきっているのだろう。ちなみに、パルコ劇場で上演された芝居『ニジンスキー』では、岡田真澄が頑張ってそっくりさんを演じていた。
ジョルジュ・デ・ラ・ペーニャとレスリー・ブラウンはともにアメリカンバレエ・シアターのプリンシパル。ビデオ『サンフランシスコのABT』で、彼らの踊りを見ることができる。レスリー・ブラウンは『愛と喝采の日々』『ダンサー』にも出演している。
カルラ・フラッチ(1936-)今世紀のイタリアが生んだ最高のバレリーナ。フェリ、デュランテは後輩ということになる。典型的なロマンティック・バレリーナ。エリック・ブルーンとの『ジゼル』のビデオ(ABT)はあまりに有名。ボルトルッツィとの『薔薇の精』の映画でも知られる。
アントン・ドーリン(1904-83)バレエ・リュス後期のスター。代表作は『青汽車』『放蕩息子』『舞踏会』。名前はロシア風だが、本名はシドニー・フランシス・パトリック・チェッペンドール・ヒーリー・ケイといい、アイルランド人。バレエ・リュス解散後、カマルゴ・ソサエティの一員として、イギリスのバレエ育成に尽力。振付の代表作は『パ・ド・カトル』。
ジェレミー・アイアンズ(1948-)は、『フランス軍中尉の女』『スワンの恋』『仮面の男』『エム・バタフライ』『ロリータ』などで知られる大俳優だが、彼のデビュー作がこの映画である。
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